毎週水曜の夜に山陽放送(RSK)テレビで放送されている「RSK地域スペシャル メッセージ」は、地域の今を特集するドキュメンタリー番組です。
2017年6月21日は「産科医が足りない!~その背景には意外な・・・」のタイトルで、「自分が住む市町村で妊婦が出産できない」という問題の特集でした。
岡山県内には平成8年の時点で産科医が勤務する分娩施設が「76」ありましたが、平成26年には「39」に半減しています。
県内の市町村では若者の人口減少により出産数が減っており、分娩施設の運営が難しくなっています。また、岡山、倉敷などの県の中心部においても、産科医が足りないことが問題になっています。
産科医不足の原因として、昼夜を問わず勤務があり仕事が過酷であること、訴訟されるリスクが高いなどから「なり手がいない」という現状が報道されていました。
番組では自分の町に出産できる施設がないために、自らハンドルを握って岡山市へ通う備前市の妊婦や、2013年から地元での出産が叶わなくなり、救急車で妊婦の搬送訓練を行う高梁市の様子を伝えていました。
救急車の訓練では、20〜30代の男性救急隊員4人と妊婦、それに夫が付き添うという想定で、次のようなやり取りが行われていました。
救急隊員:「分娩の方が進んできましたので、ちょっと見さしていただいていいですか?」
救急隊員:「旦那さん、よろしいですか?」
夫:「は、はい...」
----
救急隊員:「奥さん、車を止めてここで出産したいと思います。旦那さん、よろしいですか?」
夫:「は、はい...」
無事に出産できたのなら、このようなやりとりも後で笑って話せるかもしれませんが、多くの家族にとって、できればこのような状況は避けたいと思うのが当然ではないでしょうか?
救急隊員や助産婦さんは産科医ではないために、陣痛を促すために使われる「陣痛促進剤」の投与や、切開手術などの『医療行為』を行うことができません。
また、妊婦を救急車で搬送する例は岡山県内でも高梁市が取り組みを始めたばかりで、一般には救急車を要請しても「救急要請に該当しない」として断られることもあるのです。
急に陣痛が始まる、破水があるなど緊急の場合は、ご主人が車で病院まで搬送するか、タクシーを頼むなどしなくてはなりません。
最悪の場合は
「主人は仕事で遠方に出掛けているし、タクシーを呼ぶにも数十分はかかる。頼りにできる父母も、姉妹も、友人もここにはいない・・・」。
というような事態だってありうるのです。
母子の命に関わることなので、これから出産の予定がある方は、万一のことを考えて移住地を選びましょう。
岡山県 分娩取扱医療機関
参照:公益社団法人日本産科婦人科学会
#子ども
アンケート