2018年6月の大阪市北部地震で幼い子の命が奪われた事故により「危険ブロック塀」の問題が全国で注目されています。
これを受けて岡山県内の学校でも安全確認が実施され、113校に安全対策が講じられました。
日本のどこかで事件や事故が起これば、その問題が取り上げられ、全国の現場での対策が求められます。
しかし、本来はリスク対策には地域性があるため、ブロック塀の対策を優先して行うべきかどうかの議論が必要だと思います。
例えば岡山県では用水路転落事故が全国で最も多いと言われ、平成25~27年の3年間で消防の出動件数は1143件、死者は79人にもなっています。
優先順位で考えればこちらの対策が急務で、ブロック塀については「塀の危険を子どもたちに認識させる」など、今できることから優先して行うべきだと思います。
岡山県の用水路
用水路とは河川から離れた場所に水を引くための人工的な水路です。
岡山県南部の平野は江戸時代から明治時代にかけて、もとは海だった広大な土地が農業用地として干拓された歴史があり、農業用水路が張り巡らされました。
そして市街化された現在でも無数の水路がそのままに残っており、岡山市で用水路の総延長距離は*約4000キロ、倉敷市では2100キロに及びます。
4000キロといえば、歩いて約40日かかる四国遍路(1200キロ)の約5周分にあたります。
*参照:産経新聞社(2016.3.23)
用水路問題は、これらの多くにガードレールや柵、鉄蓋などの安全対策が行われていない点です。
そのため、子どもやお年寄りの転落が相次いでいるのです。
岡山名物、柵のない用水路。で、ここはどこかね。 pic.twitter.com/MeyhIub8En
— じぇえじぇえ (@ardbegJJ) 2018年8月15日
岡山市 水路転落事故の状況
年齢別発生状況

発生時状況

出典:岡山市の水路について(~住み慣れた地域で安全に暮らすため~)
用水路の事故で最も被害に遭っているのは65歳以上の高齢者で、徒歩の人が多いようです。
移住ガイドは自動車を運転中に自転車で用水路へ転落した人を目撃したことがあります。 100メートルほど先の道路を自転車で横切ったおばさんが、そのまま用水路へ直進して3メートルほど下へ転落してしまったのです。
目の前で人が消えたので、一瞬は何が起こったのか戸惑いましたが、すぐに用水路へ転落したことに気が付きました。 慌てて車を止めて確認しましたが、用水路のヘドロがクッションになったためか、転落した本人は無事でした。おばさんはヘドロまみれになって、大声で悪態をついていました。
また、大雪の時には車を運転中に自ら怖い思いをしたこともあります。
倉敷市内の狭い道路で対向車とすれ違った時は、ちょっとでもスリップしたら水路へ落ちてしまうので背筋が凍るようでした。
用水路は大雨の際に河川の水量を分散して大規模な浸水被害を防ぐ役割を担っています。しかし、すぐに溢れてしまうほど水位が上昇するところが多くあります。
そうなった時に困るには、道路と用水路の境界が全く分からなくなってしまうことです。
これは、運転中のドライバーにとっても歩行者や自転車の人にとってもたいへん危険です。
岡山)用水路の転落事故、歩行中が半数超 県が対策案
— 新米先達mayan (@mayan1969) 2018年5月8日
2018年5月3日03時00分https://t.co/bpnV80sozd
この事故は2016年。それで人喰い用水路は一世を風靡し対策の声が広まったんだけど「今までここで落ちたもんは居らん」って声が支配的なのでまだ柵を付けたり白線を引いたりは決まってないみたい pic.twitter.com/7CQW2cJgqK
移住見学で用水路の確認を
これから岡山県の南部へ移住を検討されている方は、通学路や日常生活範囲の用水路の安全対策を知ったうえで居住地を検討されるのがよいでしょう。- 用水路にガードレール、柵などの安全対策はあるか?
- 道幅が狭く、車をよけて転落する恐れがないか?
- 夜間に安全確認ができるよう、街灯が設置してあるか?
- 大雨の際に用水路が溢れて、家屋や道路が浸水することはないか?
農業県の岡山県であとを絶たない転落事故「恐怖の用水路」の実態
- 「農業県」を自称する岡山県で、用水路への転落事故があとを絶たない
- 2013~2016年間における救急出動は1562件、死者数は108人に上るという
- 道路と並行した柵がないなどの特徴があり、事故を招きやすいとみられている
(2019年8月2日 ライブドアニュースより)
#安全 #岡山市
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