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農業でやっていけるのか?

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移住満足度アンケート

岡山の農業

岡山県といえば降雨量1mm未満の日数が全国最多の「晴れの国」、桃やぶどうなどの「フルーツ王国」というイメージから「農業」に興味をお持ちの方も多いと思います。 日本農業会議所、全国新規就農相談センターの「新規就農 相談ハンドブック」には、就農までの要素として5つのポイントが掲載されています。

  • (1)技術やノウハウの習得
  • (2)資金の確保
  • (3)農地の確保
  • (4)機械や施設の確保
  • (5)住宅の確保*
*(5)農業の形態によっては農場と住居が近接している必要があるため、住宅の確保は営農と同じように重要。


今回は「岡山に移住して農業するのもいいかな?」と漠然と思っている人へ

  • 「農作物の候補は?」
  • 「農地はどうやって確保する?」
  • 「岡山での農業研修は?」
  • 「補助金や助成金は?」
  • 「農業で食べていける?」
などの疑問に答え、就農への入口をご案内するために「晴れの国おかやま就農セミナー&相談会(H29.5.21)に参加して勉強させていただきました。

イベントは岡山市内の開催でしたが、愛知、大阪、広島など他県からの参加者が多いようでした。50〜60人くらいの会議室はほぼ満席で、30代くらいの男性やご夫婦が多く見受けられました。
就農セミナーでは、新規参入者の就農フローとして「岡山県の新規就農研修制度」と「農業法人で働く」の2つを紹介していました。
農業法人とは法人形態で農業を営む組織のことで、税制上の優遇措置、補助金を確保しやすいなどのメリットがあり、近年は設立件数とともに求人数が増えているようです。





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岡山県の新規就農研修制度

農業の技術やノウハウが習得できて研修費(補助金)が支給され、うまく人脈が広がれば農地や住宅の確保にもつながるという王道コースが、岡山県の新規就農研修制度です。 新規就農研修制度には、次の2つのステップがあります。

(1)農業体験研修
1か月程度、研修受け入れ地域の先進農家等で農作業や農家生活等を体験する(10万円の研修費を支給)。
条件:年齢55歳未満の人(面接試験あり)
募集時期:例年6月頃と10月頃の年2回募集

(2)農業実務研修
就農予定地域の先進農家等で、技術の習得や農地・住宅の確保、地域の絆づくり等の実践的な研修を2年以内で行う。(年額150万円程度の研修費を支給)
条件:農業体験研修後に具体的な営農計画(就農計画)を立てる。

通常は研修中に技術を習得しながら人脈を広げて、農地と機材、住居、資金の確保の目処をたて、研修修了と同時に農業経営を始めることになるそうです。





農業の情報収集

さて、「岡山県の新規就農研修制度」に応募する前に「どこで何を作りたいか?」を検討しなければなりません。 そのために必要な情報収集の方法をまとめました。


岡山の農業

(Step1)資料を請求する

岡山県の就農に関するチラシやパンフレットを取り寄せます。今回のセミナーで入手出来た主な資料は次の6点です。 ★の数は取り寄せの重要度を表しています。(最高4つ) 相談会やオリエンテーションに参加する前に資料に目を通し、疑問点や候補の作物などをまとめておくと良いでしょう。


晴れの国 おかやまで農業を始めませんか?(A4/2つ折りパンフレット)★★

    内容
  • 新規就農研による就農の流れ
  • 研修受入地域(岡山県内地図)
  • 農業実務研修の内容(年間予定)
  • 研修の実績
  • 県内各地域の就農相談窓口の紹介
「研修の実績」によると、年代別就農者は30代(47%)が最も多く、40代(26%)、20代(16%)、50代(11%)でした。 研修による新規就農者で多かったのは、多い順にぶどう(112人)、トマト(29人)、なす(20人)、もも(14人)などでした。


新規就農者ガイドブック (A4/20ページ冊子)★★★★

    内容
  • 新規就農へのプロセス
  • 情報を収集しよう
  • 営農・生活プランを考えよう
  • 栽培する作物を考えよう
  • 就農候補地を調べよう
  • 資金の準備・計画をしよう
  • 技術や知識を習得しよう
  • 農地・住宅を確保しよう
「栽培する作物を考えよう」の頁では、主な作物における10a(1,000m2)当たりの「農業経営指導指標」として、作目、栽培適地、収穫、粗収益、経営費、農業所得、労働時間などの一覧表が掲載されています。
農業所得が高い作物のベスト3は、1位:スイートピー(3,058千円)、2位:なす(2,517千円)、3位:トマト(1,764千円)でした。
労働時間が最も長いのはスイートピー(2,741時間)で、最も少ないのは水稲(12.1時間)でした。
「資金の準備・計画をしよう」の頁では、主な施設や機械の価格と耐用年数(目安)の一覧表があります。 「農地・住宅を確保しよう」のポイントとして「信頼関係が第一」「農地を所得する時に注意すること」などについての記載があります。
この冊子は下記よりダウンロードできます。
新規就農ガイドブック(PDF)


岡山県で農業に取り組む新規就農者たち - 新規就農事例集 (A4/24ページ冊子)★★★

今までに岡山で新規就農された方々の事例集です。ぶどう、もも、トマト、いちご、なす、露地野菜、有機野菜、花、水稲など39名の体験が冊子にまとめられています。 巻末の「岡山県の新規就農者の就農実態」では、就農1年目の農地面積、就農時の資金借入の状況、住宅の確保などについての集計がありました。


晴れの国おかやま 就農セミナー&相談会 (A4/7ページ冊子)★

今回開催されたセミナーのレジュメです。開催の趣旨、内容、スライド資料、講演者のプロフィール等が記載されています。


岡山県新規就農研修ガイドブック - 市町村概要(A4/47ページ冊子)★★★

岡山県内の各市町村の概要(人口、主な産業、イベント、買い物、医療、学校など)、新規就農に向けた支援、研修受け入れの条件等、就農、定住等に関する支援情報などが記載されています。


平成29年度(前期) - 岡山県新規就農研修ガイドブック(A4/48ページ冊子)★★★★

    内容
  • 新規就農研修生の前期募集について
  • 前期募集に関わる受け入れについて
  • 新規就農研修制度を活用した就農までのスケジュール(モデル)
  • 岡山県内の地域・市町村
  • 地域就農オリエンテーションの開催について
  • 申請様式
「前期募集に関わる受け入れについて」では、どの地域で何の作物に何名の募集があるかを一覧表にしています。また、「地域就農オリエンテーションの開催について」では、各地域別のオリエンテーション(見学会)の開催日時、集合場所、面接会の予定が記載されています。
新規就農研修の心構え等についての頁では、「経営者としての農業を知る」「研修生だという特別な意識を持たない」「批判や結論を急がない」などについての注意書きがあります。
「申請様式」で必要なのは、履歴、職歴、家族構成、就農相談状況、研修希望場所、研修希望時期、研修を希望した動機、目標とする農業等の具体的な内容、健康診断書などでした。

農業資料





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(Step2)相談会・セミナーに参加する。

岡山県では県内外で年に30回程度の相談会を実施しているそうです。移住・定住フェアと同時開催されることもあります。

(Step3)現地見学会(オリエンテーション)に参加する。

岡山県内9地域で開催されており、産地見学ツアーを実施する地域と個別の産地訪問を行う地域があります。新規就農研修に申し込みをするには、オリエンテーションを利用して希望地域の産地訪問を行う必要があるようです。


(Step4)新規就農研修への参加(1か月間)

新規就農研修は例年、6月頃と10月頃の年2回募集しています。受入地域の先進農家等で、農作業や農家生活等の体験を行います。
面接審査があり、平成29年度(前期)の提出書類は(1)新規就農研修(農業体験研修)申請書(2)健康診断書、(3)新規就農研修に係る注意事項確認書の3点でした。


(Step5)農業実務研修(2カ年以内)の参加

新規就農研修のあと、受け入れ地域との合意を行い、研修計画と農業実務研修の申請を提出して、農業実務研修に参加します。


(Step6)就農

2か年以内の農業実習研修を行ったあと、研修を行った地域、品目で就農します。





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農業だけでやっていける?

農作業

今回のセミナーに参加してみて、岡山県では就農のサポートが充実しており、新規就農研修制度は移住してから農業を始めたい人には心強い仕組みだと感じました。
しかし、私自身は「農業だけでやっていける!」と確信ができませんでした。

その理由は、最初に紹介した5要素である技術やノウハウ、農地、機械や施設、住宅を既に持っており、新たな資金もさほど必要としない人たちが「農業だけでは食べていけない」と他の職業を選択していることです。 それを考えると、これから技術やノウハウを学び、農地と住宅を賃貸し、ローンを組んで新たに機械や資材を購入して新規参入を行い、成功を納めるのは決して容易なことではないと思うのです。

また、農業を取り巻く環境にも注意が必要だと感じました。まず、地球温暖化による天候不順や異常気象です。昨年は日照り続きの後、長雨に見まわれて野菜が不作となりました。また、台風の上陸数は2012年(2回)、13年(2回)、14年(4回)、 15年(4回)、16年(6回)と近年は増加傾向です。
また、TPPへの参加や米国が日本の農業分野の市場開放を求めるなど、今後は外国から安い農産物が輸入されて市場価格が下落する恐れがあります。政府は今後も国内の農業を守る立場を維持すると思われますが、様々な補助金がいつまで持続可能なのかは誰にもわかりません。 そして「農業を始めたら、簡単にやめられない」こともリスク要因のひとつだと思います。

もちろん、農業に新規参入して成功している事例は多くあると思います。しかし、決して「簡単に成功できるほど甘くない」と感じました。 移住後に本格的に農業で生計を立てたいと思われている方は、体験者から本音を聞き出すなどの情報収集を行い、入念な計画を立て、不作であっても経済的に困窮しない蓄えを準備することをお勧めします。
人生ゲームの開拓地で人生最大の賭けを行うようなことは考えず、当サイトでも紹介しているBWS(ブロック・ワークスタイル)で復数の仕事をかけもちしてリスクを分散し、最初は小さく農業をはじめて様子を見ながら規模を拡大していくのが良いと思います。

関連頁:BWS(ブロック・ワーク・スタイル)のすすめ





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