第1章 楽育とは
1章の1)【楽育】とは
「庭を見れば、その人のことが分かる」と言われます。まったく手入れをせずに放任された家の庭では 子どもは放任されて育てられます。
1章の2)未来から育児を考える
子どもが自立して「経済的な豊かさ」を得るための種まきをします。幸せになるために「経済的な豊かさ」のほかに必要なものがあります。それは「こころの豊かさ」です。
1章の3)子どもが自立できるように導く
子どもの健全な成育を阻む「悪い価値観」を、雑草に例えています。雑草の生えない庭はありません。知らぬ間に雑草が生えるように、普段はよい子の子どもの心にも雑草の種がまかれます。
1章の4)見た目よりも、心を育てる
子どもの心を植物の「根」に例えます。根は土の中にあり、私たちが見えないところで成長します。育児においても一番大切な時期は、誕生から幼児期の頃です。この時期には、目に見える成果よりも、子どもの心を育てることが大切です。
1章の5)適切な時期に、育児を行なう
育児にも何かを行なうのに適切な時期があります。子どもの成長は早く、同じような時が再び訪れることはありません。
1章の6)育児にも、子どもにも完璧はない
大人が偏ったまなざしで子どもを見ることなく、よい芽を見つけて伸ばすことを理想にしています。育児で自分の思い通りにならないことがあっても、それを楽しむ心のゆとりを忘れないようにします。
1章の7)育児に必要な夫婦の信頼関係と共通認識
子どもは、育つ環境によって様々な影響を受けます。そして、環境を左右するのが親の存在です。「親がどのように育てるか」「親がどのような人であるか」によって、子どもの性格や行動は変わります。
第2章 子どもの環境をつくる。
2章の1)子どものために、最適な環境を整える。
【楽育】における土づくりとは、子どものために環境を整えることです。いじめ、学級崩壊、不登校、暴力、虐待など、子どもたちは様々な問題を抱えています。子どもを取り巻く環境には、学校(保育施設)、地域、家庭があると言われますが、これらの問題の根幹は、家庭環境によるところが大きいようです。
2章の2)子どもとの時間をつくる。
育児においても自分の時間をかけた分だけ、大きな喜びを収穫できると考えています。また、子どもの心に豊かさと安定を求めるならば、親子で過ごす時間を短縮することはできません。子どもと一緒に何かをしていると、親子だからこそ分かることや共感することがあります。
2章の3)子どもにふさわしい「場」をつくる。
「安心の場づくり」は、子どもが安心して幸せを実感できる環境を作ります。「興味の場づくり」は、「おもしろそうだなぁ」「やってみたいなぁ」と子どもが思えるように、好奇心が育つ環境を親が作ります。「興味の場づくり」で大事なのは、集中できるようにすることです。
2章の4)子どもの食生活と生活環境を考える。
子どもの肥満は、高血圧症や高脂血症、糖尿病、脂肪肝などの生活習慣病の予備軍になる恐れがあります。また、筋肉や骨に過度の負担をかけて健全な成長を阻みます。肥満という言葉には、食べ過ぎて太るというイメージがあります。しかし、現代の肥満は偏った食生活や栄養不足によって起こります。
2章の5)子どもの健康をつくる生活習慣。
早寝早起きはなぜ、子どもたちに必要なのでしょうか?それは人にも体内時計があり、体温を調整したり生理現象をコントロールしているからです。夜型の生活でリズムが狂うと時差ボケのような状態になったり、うつや無気力になると言われています。
2章の6)子どもとの信頼関係をつくる。
親子の信頼関係のために、次のような環境をつくります。(1)大人が子どもに嘘をつかない環境(2)家族の愛情が伝わる環境
2章の7)子どものために機会を作る。
【楽育】では、次のような環境を作ることで子どもの成長を促します。(1)体験の機会。(2)出会いの機会。(3)感動の機会。人は体験することによって成長すると言われます。
第3章 子どもに働きかける。
3章の1)種まきは、子どもへの働きかけ。
【楽育】では、種まきが「親から子どもへの働きかけ」を意味しています。働きかけとは、子どもと積極的に関わって成長を促すことです。子どもには本来、自ら成長する力があります。親は子どもに何かを与えるよりも、子どもが持つ力を信じて伸ばしてやることが大切です。
3章の2)子どもへの働きかけの時期。
子どもへの働きかけを「短期」と「長期」で考えます。「短期」での働きかけは、本人がその時期に興味を持って取り組めるテーマ、伸び盛りのテーマを選びます。たとえば、技能学習、記憶学習、知育学習など誰の目にも見える成果が得られるものです。そして「長期」での働きかけは、物の見方、考え方、感じ方、価値観など、一生涯を通じて大切にして欲しいテーマを選びます。
3章の3)子どもの「共感力」を育む働きかけ。
親が子どもの話に共感することで、子どもに「共感力」の種がまかれると考えています。子どもの話をしっかり聞くことで、相手が何を考え望むのかが分かるようになります。子どもは大人が自分の話を真剣に聞いてくれることを望んでいます。
3章の4)子どもの「創造力」を育む働きかけ。
子どもたちに「創造力」の種をまくため、私たちにできることは何でしょうか?【楽育】では、幼い頃から形のないもの、答えのないものに多く触れさせる機会をつくります。自らの手で試行錯誤して何かを生み出すことが「創造力」を育てるのです。幼児期には、遊び方が制限される玩具よりも、自由な発想で遊べるものを選びます。
3章の5)子どもの「交際力」を育む働きかけ。
【楽育】では、様々な年齢の人と交流して視野を広めるのが、子どもたちにとって望ましいと考えます。そこで、子どもの人間関係を豊かにする「交際力」の種まきをします。わが家で行なっている「交際力」の種まきは、できる限り友だちの輪を広げることです。
3章の6)子どもの「影響力」を育む働きかけ。
【楽育】では、人が子どもに与えている影響がどのようなものかを、しっかりと見極めて行動することが大切であると考えています。また、子どもの一番近くにいる親が、悪い影響力を凌ぐほどの影響力を子どもに与えてやれる存在であるべきだと思います。
3章の7)子どもの「判断力」を育む働きかけ。
【楽育】の基本は「良い芽を伸ばし、悪い芽を摘む」ことにあります。何かを判断をすることは、選択肢の中から道を選ぶことです。私たちの日々の判断の積み重ねが、子どもの成長を導く道しるべになるのです。
3章の8)子どもの「適応力」を育む働きかけ。
「適応力」の種まきとして、子どもの世界を広げて新鮮な体験させることが大切であると考えています。「適応力」とは、環境や状況に合わせて自らを変えていく能力です。
3章の9)子どもの「精神力」を育む働きかけ。
【楽育】では、親が子どもに愛情を実感させることが、大切であると考えています。子どもはいつも、親の愛情を求めています。それに応えるためには、私たち親が子どもに対してしっかりとメッセージを送る必要があります。
3章の10)子どもの「柔軟力」を育む働きかけ。
「柔軟力」を育む働きかけとして、心に「あそび」を持たせてやることが大切であると考えています。心に「あそび」を持たせることは、常に子どもに完璧を求めないということです。時には子どもの不真面目さを容認してやることが、心に「あそび」を育みます。
3章の11)子どもの「忍耐力」を育む働きかけ。
子どもに我慢を覚えさせることで「忍耐力」の種まきをします。「全て自分の思い通りになることはない。欲しいものを手に入れるには、時間と努力がいる」ことを、子どもが学べるように働きかけます。
3章の12)子どもの「好奇心」を育む働きかけ。
親が子どもと関わって上手に誘引してやることで、子どもから「好奇心」の芽を伸ばします。また、親子が一緒になって「なんで?」という不思議を楽しむことが、大切な働きかけになります。
3章の13)子どもの「共助力」を育む働きかけ。
子どもの「共助力」を育むために2つのことを意識しています。(1)相手の気持ちを第1に考え、敬意を持って接すること。(2)子どもの意思を確認してから親が手を貸すこと。
3章の14)子どもの「失敗力」を育む働きかけ。
失敗を恐れずに何度でもチャレンジする力、失敗を最小限に抑える力、失敗を乗り越える力、それが「失敗力」です。
【楽育】では「失敗力」を育むために、2つのことを心がけます。(1)十分に時間の余裕を持ち、子どもに失敗の原因を考えさせること。(2)親が子どもの行動を先読みし、手助けや助言を行なわないこと。
3章の15)子どもの「自立力」を育む働きかけ。
【楽育】における「自立力」は、行動の自立よりも心の自立を重視します。子どもが自分で「できた」と実感することの積み重ねが「自立力」を育みます。
3章の16)子どもの「想像力」を育む働きかけ。
答えのないものを求めることで、「想像力」の種をまきます。現代では自分の頭で考えず、すぐに答えを得ようとする子どもが珍しくありません。。「想像力」とは下手なアイデアでも、様々な角度から発想しようとするチャレンジが大切であることに気がつきました。
3章の17)子どもの「競争心」を育む働きかけ。
【楽育】では「競争心」の種まきのために2つのことを心がけています。(1)子どもの心に競争心が芽生えるのを待つ。(2)大人が競争社会で頑張っている姿を子どもに伝える。
3章の18)子どもの「自信力」を育む働きかけ。
植物が大地にしっかりと根を張るように、子どもに揺るぎない自信を持たせることを大切にしています。そして、自らの体験や失敗を克服することにより「自信力」は育まれると考えています。子どもが自分ら認められるものを心の内に持つことが、いざという時の強い力になるのです。
3章の19)子どもの「積極力」を育む働きかけ。
【楽育】では、人に対して自分から声をかけることで「積極力」を養います。自分から声をかけることは、主体性を持って行動することに繋がり、初対面の人にも臆さない度胸を身につけられます。
3章の20)子どもの「親切心」を育む働きかけ。
人のことを自分のことのように感じて行動するのが「親切心」の基本であると考えています。思いやりには相手への敬意が必要です。子どもにとって最も身近なところでは、両親の関係がお手本になります。夫婦の良好な関係は、子どもの心の安定を与え、良い芽を育みます。
3章の21)子どもの「冒険心」を育む働きかけ。
「冒険心」は、成功するかどうか予測できない未知の可能性に、勇気をもってチャレンジする心です。【楽育】では、子どもの心に「冒険心」の種をまくために、次の2つを働きかけます。(1)時には日常の生活から背伸びをして、子どもに未知の体験をさせる。(2)子どもにとって、何が危険であるかを実感させる。
3章の22)子どもの「思考力」を育む働きかけ。
「思考力」は、子どもに自ら考えさせることで育まれると考えています。そこで、次のことを意識して「思考力」の種まきを行ないます。(1)考えを広げる。〜多角的に考えさせる。(2)考えを絞る。〜焦点を絞って考えさせる。分類して考えさせる。(3)考え方を変える。〜観点を変えて考えさせる。時には逆の発想を求める。
3章の23)子どもの「コミュニケーション力」を育む働きかけ。
子どもの「コミュニケーション力」は、家庭でゆっくりと育まれると考えています。また、親が子どもを見守るためには、子どもとのコミュニケーションが不可欠です。日常で私たちが子どもに教えていることの多くは、土の中で植物がゆっくり根を張るように身についてゆくもので、簡単には見えません。
3章の24)子どもの「表現力」を育む働きかけ。
「表現力」のスキルを勉強としてではなく、今しかできない喜びを通じて身につけます。親子で楽しい体験や興味のあることをテーマに、文字に書いたり、口に出すことを繰り返すことが「表現力」の基礎になると考えています。
3章の25)子どもの「価値観」を育む働きかけ。
【楽育】では、リアルな体験こそが、人の「価値観」に影響を与えると考えています。子ども同士で影響し合うことも大事ですが、ほかの大人から学ぶ機会を得ることも幼児期には貴重な体験となります。他人からの影響力を享受するために、まず様々な人と行動を共にする機会をつくることから始めます。
第4章 子どもの習慣にする。
4章の1)習慣が子どもを育む
子どものためになることを親が選び、習慣として生活の一部にします。植物に肥料を与えるのは、時々で構いません。しかし、毎日の水やりは成育に欠かすことができないものです。習慣は自らの意思で生み出すことができます。最初は継続して行なうために強い意志と努力が必要です。
4章の2)子どもと毎日を楽しむ習慣
【楽育】では、毎日植物に水やりをするように、子どもには「喜び」を与えて成長を支えることを習慣にします。一般に「喜び」という言葉からイメージするのは、子どもを褒めることです。
4章の3)子どもに与え過ぎない習慣
モノを愛し、大事にすることを習慣にします。物に恵まれて生活する私たちは、我慢を覚えるために特別な努力をしなければなりません。日常生活で子どもに「欲しいモノが簡単に手に入らない」という状況を意図的に作ってやる必要があります。
4章の4)子どもに愛情を伝える習慣
【楽育】では、子どもの様子を見ながら、水やりをするように毎日愛情を注ぐことを習慣にしています。それを積み重ねることによって親子の信頼関係を築くためです。一度にまとめて愛情を与えようとすれば、一時の喜びを与えることができます。しかし、それが親子の信頼関係に繋がることはありません。
4章の5)子どもをゆっくり伸ばす習慣
子どもが自らの意思で物事を行なおうとする「内からの力」を育みます。急かさずに、子どものゆったりとしたリズムを受け入れながら、自分のペースで時間を守れる習慣を身につけさせることが理想です。
4章の6)子どもの悪い芽を摘む習慣。
【楽育】では、子どもの健全な成育を阻む「悪い価値観」を「雑草」に例えています。「悪い価値観」と「雑草」には、次のような共通点があります。(1)知らないうちに芽生える。(2)大きくなるのが早い。(3)対処するには根気が必要。育児においても、雑草を見つけてすぐに抜くような習慣が大切です。
4章の7)子どもと理解し合う習慣。
幼児期にその後の成長を力強く支える根となる「心」を育てます。親の愛情は、植物にとっての太陽の光と同じです。それがなければ、健全に「心」は育たず、やがて枯れてしまいます。
4章の8)子どもの目線で考える習慣。
子どもの話に耳を傾け、子どもの目線で物事を考えることを習慣にします。それは、子どもの気持ちを尊重することでもあります。私は娘と一緒にいる時には、できるだけ同じことをするように心がけています。
4章の9)子どもを比較しない習慣
人と比較することで競争を煽るのではなく、子どもの心に自然に芽生える競争心を理想の方向へ導くことで、よい枝を伸ばします。ほかの子どもをほめる時は、我が子の「自分もできるようになりたい」という向上心の芽を伸ばすチャンスにもなります。
4章の10)子どもの変化を見逃さない習慣。
よく子どもの様子を見ることで、相手を理解する手がかりにします。大きな変化の前には必ず兆しがあります。それを早めに見つけることで、親として何が出来るかを考え、対策に十分な時間をかけることができます。
4章の11)子どもに考えさせる習慣。
子どもが自分にできることを少しづつ増やしてやることで自立を促します。同時に、子どもが自分で考える習慣を育みます。子どもに何かを考えさせる時に大切なことは、親が決して焦らないことです。時間に追われていては、決して相手に真意は伝わりません。
4章の12)子どものために選択する習慣。
成長する芽を残して不要な芽を間引くように、親が子どものために選択することを習慣にします。「知識」や「技能」は、本人のやる気次第でいくらでも身につけられます。しかし、物事に取り組む意欲は、簡単に身につけることができません。
4章の13)子どもを尊重する習慣。
子どもの価値観や誇りを大切にし、親が尊重することを習慣にします。自分自身の価値観や行動に誇りを持つことは、子どもの成長にとって不可欠です。また、親がそれを大切に扱うことがよい芽を伸ばすことになります。
4章の14)子どもを追いつめない習慣。
大人が子どもの気持ちを理解し、追いつめないことを習慣にします。そのためには、子どもの話をしっかり聞いて、まずは安心させてやることが必要です。子どもを追いつめないために大事していることは、夫婦がお互いの役割を認識することです。
4章の15)子どもと幸せを感じる習慣。
【楽育】では、Win ー Win(ウィン・ウィン)の親子関係を理想とし、大人と子どもが一緒に現在の幸せを感じることを習慣にします。私たちは、子どもに素晴らしい体験を与えることで、自らが素晴らしい体験を得ることができるのです。
4章の16)子どもの未来を信じる習慣。
「自分の育児が、本当にこの子のためになっているのだろうか?」と疑問に思うことがあります。日々の育児は、小さな点でしかありません。努力してもすぐに結果に現れない場合が多いのです。また、大切な成長は、今はまだ目に見えないものが多いのです。
楽育日記
楽育日記いきものが、生きる力、異質なものを受け入れる舞台鑑賞、女の子の複雑な交友関係、小さな命がくれるもの、科学で遊ぼう、県民の森でキャンプ、盲導犬について学ぼう、廃品を集めて巨大昆虫づくり、手作りおばけやしき、発泡スチロールで巨大恐竜づくり、新聞紙でちぎり絵、海で写生大会、神社でアートを見つける、8月の七夕会、建築家の気分で家を設計、チルドレンズ・アート・ミュージアム、水の実験工作ほか、はにわづくりに参加。ムクロジの実とハスの葉で、しゃぼん玉づくり。、リズミック=アート、父、娘、祖父でハゼ釣り。、田園風景の中で、秋の夜を楽しむ「お月見会」に参加。、秋の公園を歩く「ハロウィンパーティ」ほか。
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