野にも山にも秋が深まった11月22日、移住推進員の飯豊信さんに取材をさせてもらうために和気町役場を訪問しました。
飯豊さんは東日本大震災後に東京から岡山県への移住を決め、翌年に家族4人で和気町に移り住みました。その後、長男が誕生して定住を決めると、和気町に移住推進員の設置を提案して採用されました。 移住者としての悩みや苦労を知り、その経験を生かして町の移住推進に取り組む様子を、ぜひご本人から伺いたいと思い取材を申し込みました。
手紙には「当方から後日連絡いたします」と書き添えていましたが、飯豊さんの方からお電話をいただき取材日等が決まりました。個人サイトの取材にもかかわらず、仕事に積極的な姿勢が感じられ、ますますお会いするのが楽しみになりました。
岡山市の中心部から電車で約30分、JR和気駅の改札口を出ると2本の紅葉樹が出迎えてくれました。 それは、この町に二本の楷(かい)の木がシンボルの日本遺産「閑谷学校」があることを思い出させてくれました。
駅から北へ50メートルほど歩くと日笠川に出ました。橋の長さは100mほどもあるでしょうか。ゆるやかな水の流れと、彩り豊かな山々に癒されながら川沿いをさらに北へ歩くと10分もたたずに和気町役場へ到着しました。
役場の目前は水遊びや自然観察ができる「金剛川水辺の楽校」になっており、のんびりと川釣りを楽しむ人もいました。
和気町への移住を担当する「地方創生課」は役場の2階にあり、大きな文字案内が出ていたのですぐに分かりました。
飯豊さんに出会った第一印象は、想像していたとおりの誠実で行動力がある人というイメージでした。 同階にある面会室では窓から雄大な山々と日笠川の景色を楽しめて、リラックスした雰囲気で取材は始まりました。
関東地方に地震が多いことのストレスや、家内の両親が孫に送るために育てていた野菜から放射能が検出されたことなどから、西日本への移住を検討したのがきっかけです。
家族の希望を聞いて次の5つの条件を出して、絞り込んだ移住の候補地が岡山県でした。
- 地震の活断層が少ないこと
- 原発から遠く、放射能の影響を受けないこと
- 自然環境が豊かで野菜作りができること
- 住宅密集地ではないこと
- 東京からの交通アクセスが良いこと
そのほか温暖な気候であること、南海トラフ地震の被害想定なども候補地の参考にしました。
ネットで不動産情報を検索して、興味のある物件が見つかったのが和気町でした。それから、東京から和気町へ家族全員で5回下見にやって来て町内のホテルに宿泊し、30件くらいの物件を見学した後に現在居住しているの町営住宅に決めました。
当初は仮に住んでみて新しい物件を探そうと思っていたのですが、住めば都で居心地がよくて、家探しのモチベーションが一気に下がりました(笑)
5年前はまだ移住者への受け入れ体制が整っていませんでしたので、知り合いもいない中、手探りで移住の準備を進めました。その時に試行錯誤した経験から「こういうサポートが欲しかった」という希望を、現在は受け入れる側の立場で実現できるように取り組んでいます。
菜園は家内の父母の希望でしたが、町営住宅の裏に50坪ほどの畑を無料で借りて30種類ほどの野菜を作っています。孫にも安心して食べさせられる野菜が育てられて満足のようです。
家族で過ごす時間が増えたことが一番の変化だと思います。
収入は東京で働いていた頃よりも減りましたが、物価が安く飲み会の機会が少ないなど支出も減りました。
長男が誕生してからは特に、川遊び、虫取り、ホタル観賞など自然が豊かであることの良さを満喫しています。都会の排気ガスや川が汚いところで子育てをしたくなかったので、理想的な土地に出会えて良かったと思います。
以前はキャンプに出かけてアウトドアを楽しんでいましたが、こちらへ移住してからは行かなくなりました。普段から川へ出かけたり自然に囲まれて暮らしているので、必要がないんですね(笑)
以前は隣近所に誰が住んでいるのかを知らなかったのですが、こちらでは自治会がしっかりしており、できることは皆で協力して互いに助け合う文化がありました。
最初は知り合いがいなかったので、地域での清掃、草刈り、お祭りの準備などに積極的に参加して周囲の人と交流するように努めました。本来、新しい出会いや人と関わることが好きなので無理なくできたように思います。
2年目に永住を決めてた時から、10年後、20年後、30年後になっても自分の子どもがふるさとの和気町を好きであって欲しい。何か町のために役に立つことをしたいという思いがあり、移住者としての自分の経験が活かせることを考えました。
町議会では人口の減少が問題になっていましたので、5年計画で移住者の受け入れ体制を作ることを企画書で提案しました。
移住を検討されている方への住宅や仕事に関する情報提供、電話での相談、移住体験ツアーの企画、こちらに来られた方には車で町内をご案内しています。
また、移住された後の相談やお世話などアフターケアもさせていただいています。
車で案内するのは、和気駅、駅裏の買い物ができるエリア、小学校、幼稚園、保育園、住宅地、棚田、吉井川周辺や自然保護センターなど、1時間くらいかけてゆっくりと周ります。
空き家を探して所有者や不動産業者と交渉して物件をご紹介しています。
移住の下見で短期滞在される方には、1世帯あたり5回まで宿泊費の一部を助成いたします。これは私が移住した時に東京から5回下見にやってきて、費用がかさんだ経験から提案したものです。
また、長期滞在のお試し住宅もございます。
1カ月から4ヶ月の期間、長期滞在してもらうことで実際に生活しながら和気町のことを知ってもらいたいと思います。地元の方になじめるか不安のある方には、こちらをお勧めします。
住居、仕事、生活の3つについてのお問い合わせをよくいただきます。
不動産ですと、お問い合わせの際に希望する物件のタイプや立地、部屋の数などを伺い、できるだけ条件に合う物件をご紹介させていただきます。
仕事の場合はハローワークから出ている求人情報のほか、新聞折込の求人チラシのコピーなど地元でしか得られない情報もお届けするように心がけています。
7ヶ月間で140世帯の移住相談を受けた中で6割が子育て世帯です。私にも3歳の息子がおりますので、子どもを持つ親としての立場からも質問にお応えしています。
自分の経験を100%生かして、移住を検討されている方に喜んでいただけることです。
都市生活40年、和気町に越してきて4年ですから、両方を知っているメリットを最大限に生かしてのご案内を心がけています。
豊かな自然に恵まれていながら利便性がよく、都市へのアクセスがよいことです。東京に住んでいた頃は、往復2時間、3時間くらいの通勤時間が当たり前のように思っていましたが、岡山へ移住してきてからは価値観が変わりました。
電車でJR岡山駅方面へ片道約30分、倉敷まで約50分、姫路まで約1時間など、通勤も買い物も不便はありません。
和気町は子育ての環境も充実しています。高校卒業まで医療費が無料ですし、2016年4月から和気町立保育園・幼稚園の保育料を無料化しました。ほぼ待機児童もありません。
また、無料の英語公営塾を設置したり、保育園・幼稚園へALT(外国語指導助手)を派遣するなど英語教育にも力を入れています。
「百聞は一見にしかず」ですね。
フットワークを軽くして、現地に足を運んで自分の目で見ることが一番だと思います。
「岡山へ来て良かった」と思っていただけるよう皆様の移住を全力でサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- 和気町 地方創生課
- 移住推進員 飯豊(いいとよ) 信
- 住所:岡山県和気郡和気町尺所555
- 電話:0869-92-4589
- chihososei@town.wake.lg.jp
- 岡山県和気町の移住・定住公式サイト
#和気町