節分を過ぎて受験シーズンを迎える頃には、岡山でも花粉症のことが話題になり始めます。 テレビや新聞では天気予報とともに「花粉飛散情報」がニュースになり、ドラッグストアでは花粉症薬、マスクやメガネなどの花粉症対策グッズが山積みにされた特設コーナーが作られます。
岡山県の森林面積は県土の約7割を占めています。
岡山県森林・林業統計(H27.3)の岡山県の「民有林樹種別齢階別面積」によると、人工林と天然林を合わせたスギの総数は37,151ha、ヒノキの総数は119,733haでした。
岡山ではスギよりも乾燥に強いヒノキの植林本数が多いようです。
スギやヒノキの花粉が飛散するのは、20年目くらいからと言われています。
年数別に見ると岡山県内では
スギの齢階1〜20年が315haに対して、齢階21〜51年以上は36,837ha
ヒノキの齢階1〜20年が6,815haに対して、齢階21〜51年以上は112,918ha
※haは「ヘクタール」(10,000 平方メートル)
このことから齢階21年以降の花粉を飛散する樹木が大半を占めていることが分かります。また、春先に北西から吹く風がもたらす乾燥した気候は、花粉の飛散に適しているようです。
このように、岡山ではスギやヒノキなどの花粉の飛散量も多いイメージですが、実際はどうでしょうか?
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スギ、ヒノキの花粉の飛散量は全国でも少ない!?
県内に森林が多く、花粉の飛散に適した気候であるにもかかわらず、全国の都市別の花粉飛散量で見ると岡山のスギ、ヒノキの花粉の飛散量は少ないようです。スギ・ヒノキ花粉飛散数 過去10年間の平均値

出典:日本全国花粉飛散予測|花粉症ナビ - 協和発酵キリン
その他の参照データ
平成28年における都道府県別花粉総飛散量(スギ、ヒノキの総数)予測 - 環境省
いずれのデータも岡山県内全域でないこと、また、他県と比較して相対的に花粉の飛散量が少ないことが「花粉症が軽い」という意味ではないことに注意が必要です。
岡山県内の花粉飛散記録(2017年)
参照:日本気象協会2月
3月
4月
岡山県では2017年2月14日から花粉の飛散が「やや多い」になり、3月11日に「非常に多い」になりました。
3月中旬頃までは、津山市、真庭市、新見市、美作市など県の北部では南部と比較して花粉の飛散が少ないですが、3月20日頃からは県の北部が方が飛散が多い日が増えています。
5月に入ると、どの地域でも「少ない」に落ち着きました。
2017年の岡山県のスギ、ヒノキ花粉のピークは2月24日〜4月30日までの65日間でした。
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岡山県の花粉症カレンダー
県内の主な花粉症を季節ごとの一覧表にしました。春の花粉症
岡山の春の花粉症は、スギやヒノキなど「樹木の花粉症」の季節です。- スギ花粉(1月下旬〜4月上旬)
- ヒノキ花粉(3月中旬〜5月中旬)
- ネズ花粉(4月頃)
- マツ花粉(5月頃)
通常、スギ花粉の最盛期は3月上旬から中旬で、下旬になると少なくなり、4月上旬には終了する。この間に、公園や校庭によく植栽されているスギ科の生きた化石植物:メタセコイアやセコイアも花粉を飛散させている。
出典:岡山の花粉症 岡山文庫 日本文教出版㈱
3月下旬から飛び始めるヒノキ花粉は4月上旬にピークを迎える。
瀬戸内ではヒノキの後に、さらにヒノキ科のネズ花粉が4月中旬〜下旬にあり、これがもっとも瀬戸内の花粉症を特徴づけている。
ヒノキ科ビャクシンの針葉樹。
葉の先端が針のように尖っており、かつてはネズミの侵入を防ぐ目的で植栽に利用されていました。
春〜初夏の花粉症
岡山の春〜初夏の花粉症は、カモガヤやスズメノテッポウなど「イネ科の花粉症」の季節です。- スズメノテッポウ(3~5月頃)
- カモガヤ(4上旬~7月中旬)
- ヒメスイバ(5~6月頃)
- ハルガヤ(4~7月)
- ホソムギ(4~7月)
- スズメノカタビラ(3~5月)
草丈は20〜40cm位のイネ科植物で、別名「タムギ」とも呼ばれます。岡山では水田や畑、川沿いで多く見られます。よく子どもたちが草笛を作って遊ぶ野草です。
別名「オーチャードグラス」とも言われ、草丈は60〜120cmくらい。明治時代に牧草として日本に導入されて広く野生化しているイネ科の植物です。 岡山では道端や公園、河川敷などで見られます。カモガヤ花粉症はイネ科花粉症の中で最も患者数が多いと言われます。
岡山県内のイネ科植物の自生地
名称 | 自生が確認されている場所 |
---|---|
カモガヤ | 岡山市、倉敷市、笠岡市、高梁市、新見市、奥津町、八束村 |
スズメノテッポウ | 倉敷市、笠岡市、岡山市、熊山町、御津町、高梁市 |
ハルガヤ | 岡山市、備前市、倉敷市、総社市、新見市、高梁市、有漢町、奥津町、落合町、熊山町、瀬戸町、哲多町、早島町、北房町、美作町、上斎原村、新庄村、八束村 |
ホソムギ | 岡山市、倉敷市 |
スズメノカタビラ | 岡山市、倉敷市、笠岡市、高梁市、新見市、邑久町、熊山町、佐伯町、神郷町、備中町、芳井町、新庄村 |
秋の花粉症
岡山の秋の花粉症は、ブタクサやヨモギなど「キク科の花粉症」の季節です。- ヨモギ(8~9月頃)
- ススキ(8月中旬~10月頃)
- ブタクサ(8~10月頃)
- オオブタクサ(10月頃)
- カナムグラ(9~10月中旬)
キク科の一年草で、明治初期に渡来した帰化植物です。俗名「hogweed(豚の草)」は、豚の餌(にしかならない)という意味があるそうです。 高さは1メートルほどで、黄色い小花の集まりを細長く咲かせます。道端や河原などに自生し、岡山県では吉井川流域に多く自生します。日本国内ではスギ、ヒノキに次いで花粉症患者数が多いと言われます。
キク科ブタクサ属で別名「クワモドキ」と言われます。
ブタクサよりも背が高く、2〜4mほどなり河原や土手などに大群落をつくります。岡山県では旭川、高梁川流域に多いようです。
アサ科の一年草のツル植物で他の植物に巻き付いて成長し、全長が数mになることもあります。 カナムグラの「カナ」は鉄を意味するそうで、茎は強靭で鋭いとげがあります。繁殖力が強く道端や荒れ地、土手のほか、河原では大群落をつくります。
秋の花粉症は、空き地など街中でも育つキク科のヨモギ、ヒメムカシヨモギ、ブタクサ、イネ科のエノコログサなどが関与。夏から11月にかけて花粉を飛ばし、人によっては春同様に鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が出る。
出典:山陽新聞デジタル
中国・四国空中花粉研究会の名部誠副代表(吉備高原医療リハビリテーションセンター内科部長)によると、スギやヒノキの花粉は山地から風に乗り約100キロ先まで大量に飛散するが、雑草の花粉が飛ぶのは1キロ程度まで。「原因植物に近づかなければ症状が出ないことが多い」という。
同研究会の推計によると、春の花粉症の有病率が国民の18%に上るのに対し、秋は3%程度。
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岡山の花粉症まとめ
花粉症といえばスギやヒノキが有名ですが、岡山は全国でも飛散量が少ないようです。一方で、あまり知られていないイネ科やキク科の花粉症があります。 それらはスギやヒノキとくらべて花粉の飛散距離が短いため、都会では影響を受けにくいと思われます。 イネ科、キク科の植物は水田、川沿いなどに多く自生します。河川や田園が豊かな岡山県に移住するなら、これらの花粉症が発症するリスクも考えておくべきです。
移住ガイドの花粉症の話
移住ガイドは、子どもの頃から水田沿いや河川でよく遊んでいましたが、成人するまで花粉症の症状が出たことはありませんでした。
ところが大阪で2年ほど過ごして岡山へJターンしてから、GW頃に鼻水や喉の傷み、くしゃみの症状が出ました。スギやヒノキの花粉症はすっかり落ち着いた時期だったので、まさか花粉症だとは疑わず、風邪薬を飲んで安静にしていました。
ところが、1週間ほど経っても症状は改善せず、ますます乾いたような喉の傷みがキツくなりました。そこで病院で花粉症の検査をしたところ、イネ科の「カモガヤ花粉症」であることが分かりました。
医師からは眠気を誘わない錠剤を処方してもらいますが、GW〜梅雨頃まではずっと体がだるく、その時期はどこか「カモガヤ」がないところへ移住したくなります。
梅雨が訪れるとカモガヤ花粉症の症状がなくなるので、毎年6月になると移住ガイドは、「晴れの国 おかやま」で雨乞いをしているのです。
私移住ガイド自身の体験からも、次のような自覚がある方は、移住候補地を探す前に、病院の耳鼻科、耳鼻咽喉科、アレルギー科、眼科などで花粉症の検査を受けられることをお勧めします。
花粉症のセルフチェック
- 風邪の症状が出るが、熱はない。
- 透明で水っぽい鼻水がでる。
- ずっと鼻がむずむずする。
- 目がかゆい。
- 春先から秋に鼻がつまる。
- のどが痒くなる。
- くしゃみが連続して出る。
- 毎年、同じ時期に体調を崩す。
花粉症の検査には「血液検査」または「皮膚反応検査」があり、何の花粉に対してアレルギーの反応が出ているのかを調べてもらえます。
もしも、病院で花粉症が診断された場合は、なるべく該当する植物が自生していない地域を移住先の候補にしましょう。
ファミリーで移住するご家庭では、子どもと一緒に花粉症の検査を受けてください。郊外の小中学校は、田んぼや河川から近い場所もあります。通学路や運動場を変更することはできませんし、数週間も風邪をひいたままの状態がどんなに不便で苦痛か、実際に体験してみないとわかりません。
わざわざ花粉症のホットスポットへ移住して、後悔のないようにお願いします。
花粉飛散の情報サイト【岡山県】
岡山県の花粉情報を市区町村別に掲載しています。1週間先までの花粉予測で週末の計画も立てられます。
花粉Ch. | ウェザーニュース|岡山県
花粉飛散予報や実況データ、その日の花粉症状まで掲載。
岡山の花粉症アンケート
岡山移住ガイド.jpでは、岡山県の花粉症の分布図を作成する予定です。
(1)どの地域に(2)どんな種類の花粉症が多いのかを集計して当ページで公開するために、皆様からの花粉症情報を募集しています。ぜひご協力ください。
#健康